今日は新しい眼鏡をつくりました.近眼プラス,老眼もあり,眼鏡は遠近両用です.

遠近両用眼鏡というのは,近眼用とはちがって,お店におまかせではなく.使用する側も専門的な知識と明確な使用イメージをもって,眼鏡屋さんと相談しながら作って行く必要があります.

たとえば,この眼鏡は一つのレンズの上面が近眼用(遠くを見る),下面が老眼用(手元を見る),その間が中距離を見る用になっています.そのため,手元を見るにはアゴを上げ,首を後に引く姿勢を取って,視点をレンズ下面に向ける必要があります.普通,人が手元を見るときは,アゴを引き前屈みの姿勢になりますから,これは生物学的に不自然な行動が求められるわけです.近くをよく見る仕事に使うのに,老眼用レンズ域が狭いレンズを選ぶと,使えないだけでなく,無理な姿勢を取ることから肩こりや頭痛に悩まされることにもなります.遠近両用メガネとは,使用目的や環境を事前に良く考えて,一枚のレンズの遠近用の比率や視点の位置をどのようにするかを決めることが求められるものなのです.

今回は,遠近の境目の幅が狭いレンズを選びました.この場合,近眼用と老眼用部分のバッファ部分が狭くなるので,上下の視点移動のたびに,視野感覚の変化が激しく,すこしクラクラします.しかし,その分,老眼用の視点域が中間域まであるので,手元を自然な感じで見ることができます.アリの頭部を解剖するとか,細かな仕事をこなす者として,老眼が進んだこともあり,手元を自然に見ることができる仕様を選んだわけです.これまで使ってきた眼鏡は中間域が広いタイプなので,車の運転や野外調査用に使います.

日本の眼鏡レンズメーカーは世界に誇る技術力をもち,レンズの性能や種類が毎年のように革新されています.眼鏡は高価な買い物ですが,365日使う仕事の道具です.古い眼鏡を無理して使い続けるのではなく,より快適に仕事ができるために,また,フレームを変えて気分と顔つきをリフレッシュさせるためにも,こまめに買い替えるようにしています.


アギトアリの頭部解剖写真です.大アゴを動かす筋肉配置や脳の形態を系統的に比較する研究もしてます.こんな仕事してれば,眼も悪くなりますよ)